バルト諸国でバードウォッチング

バルト海地域のアドベンチャーをご案内

時差ボケになってしまい、朝4時から目が覚めても体をベッドに横たえたままでいます。ラトビアの雨はどしゃぶりで、泊まっているエコロッジの窓のすぐ向こう側にある樹冠、苔むした林床、茂みを一定のリズムで叩きつけるように降っていました。春ということで、日の出とともに7時頃に夜が明け、雨が止み、雲が切れると耳に入ってきたのは私を呼びに来る美しい声。鳥のさえずりでした。朝の清々しい空気の中、双眼鏡を首からかけて後ろポケットにメモ帳を携えた私は、森に足を踏み入れました。地面は湿っていても固く、地表からきのこと雨とコンポストの香りがしました。自分を取り巻くすべてのもの、鳥の鳴き声が聞こえてきて、時おり、色つきの閃光がまたたくのが目の端に飛び込んできました。鳥なのは確かですが、どの鳥でしょうか? 

森の奥へと15分ほど歩いていったところで立ち止まって、野生生物が姿を見せるのを待つことにしました。それから、双眼鏡で前方の木々を見渡しました。そのとき、見たのです。あれはヨーロッパムナグロでした。高い枝に、体の水気を飛ばそうと羽を逆立ててとまっていました。羽毛が綺麗でした。胸は漆黒、黒い羽根の傍らが白い帯状になっていて、背中と頭に有名な金色のまだら模様がありました。そのムナグロが枝を降りて木々の間を飛び立っていくまで、ひとしきり観察しました。そこを立ち去るまでに私は、バードブックに観察メモを記してから、朝食をとりにエコロッジへと戻りました。 

バードウォッチングは、私が10年以上もの間大いなる情熱を注いでいることのひとつです。ハワイ島ボルケーノからペルーのマヌー国立公園まで、世界中の森で一番美しい鳥類を探してきました。ですが、ヨーロッパのある場所がずっと私を呼んでいたのです。バルト諸国です。海の陸地、湿地帯、太古の森の多様な生態系を持つことで、ここはバードウォッチングに絶好のスポットです。本文の序論からお察しの通り、私はラトビアで冒険に踏み出しました。ここは、春と秋には ヨーロッパムナグロといった渡り鳥が数万羽余りの大群をなして渡って行きます。 

ラトビアには、希少種の鳥たちが多く存在します。翼をはためかせる小型フィンチから、雄々しいタカまで、すべてがここにいます。さて、バードウォッチングがやや地味で年寄っぽい印象を与えることはわかっています。でも、31歳女性の私がその特性評価にひと味加えて、意義を唱えます。私の意見では、バードウォッチングは自然に何も害をなすことなく感謝を捧げられる点で理想的です。自然と一体になり、生き物への敬意と感謝を示す機会になります。バードウォッチングには、自然の中でのアドベンチャーに探索要素が加わっています。森の散策を、希少で誰もが欲しがるものを求めて行く探検に変貌させるのです。また、私を信じていただきたい。珍しい鳥が双眼鏡越しに目に入ったら、人に脅かされることもなく枝の上でさえずる様子を観察しましょう。私と同じようにワクワクする感情を覚えることでしょう。 

Viewpoint at Liepaja Lake, Latvia.
ラトビア、リエパーヤ湖の絶景ポイント。 

さて、話しを戻すとしましょう。ラトビアでは、各所の生態系でバードウォッチングをして過ごしました。森の奥深くに行き、探すとたいてい見つかるのが、シベリアヨシキリ、ヤナギムシクイ、オジロビタキ、ヤブサヨナキドリ、アカマシコです。後ほど、そのまま湿地帯でナベコウとシュバシコウの両方を観察しました。そして最後には、海で双眼鏡を覗くと、数羽のハイイロミズナギドリが目に入りました。こうした海鳥たちには心を捉えられます。私は、はるか上の場所で狩りをした鳥が素早く急降下した後、魚を獲ろうと海面に向かって加速するのを観察しました。 

屋外アドベンチャーから5日後、新しい鳥の記録でノートがいっぱいになり、穏やかで爽快な気分を味わえました。残念ながら、お別れの時間が来ました。でも、バルト諸国での時間はまだ残っています。快適で燃費の良い列車で南へ向かった先のリトアニア、もうひとつのバードウォッチング天国で、私は襟を正しました。私たちが最初に泊まるところは、アシュメナ高地の奥深くに心地良く小さな集落となって立っている木造コテージでした。その夜、薪ストーブを燃やして小説を開き、パチパチ音をたてて燃える樺の木に読んで聴かせました。翌朝、何年も見てきた夢を実現しようと思いました。 

カナダ人の私がずっと会いたいと願ってやまなかった鳥のひとつが、あるワシです。白頭ワシはカナダに生息していますが、これまでに一度も出会うことがありませんでした。バルト諸国を去る前に、リトアニアを故郷にしている数多くのワシについて読み漁りました。その中にはチュウヒワシ、イヌワシ、カタシロワシなどがいます。ですが、私が見たかったのは、ある特定の種類でした:ボネリークマタカです。イタリアの鳥類学者でありコレクターでもあるフランコ・アンドレア・ボネッリにちなんで名づけられたこの大型猛禽類は、優雅さをたたえた広い翼幅や美しいカーブを描くクチバシで、私を虜にしてやみません。次の日の早朝、私はユニフォームを身にまといました。防水加工の装備をつけ、自前のハイキングブーツを履きました。双眼鏡、サングラス、メモ帳を掴み、運試しに出かけました。それから1時間の間、主に目撃したのはヒメウタイムシクイとキガシラセキレイ。どちらもお目当てではないにせよ、見られて嬉しかったです。空腹になり、座って休めそうな岩を見つけて朝食にしました。サンドイッチの包みを開けていた丁度そのとき、大きな翼を持つ生き物が遠くに見えました。近づいてくるにつれ私は、それが何の鳥か知りたくなってきたのです。双眼鏡を目に当て、喜びの感情が全身を駆け抜けていきました。それは、ボネリークマタカだったのです。紛れもなく、白い胸と黄色の目がはっきりと見えました。しばらくの間、頭上で輪を描き、眼下の草地にネズミを探していました。すると物凄いスピードで、低木の植え込みに向かって飛んでいきました。わずかな時間、タカは何かと激しく格闘した後、爪で獲物を捉えていない状態で再び飛んでいました。あのタカは、獲物を捕り損なったのです。私にとって、生涯最高の野鳥観察でした。 

Male Bonelli's eagle.
オスのボネリークマタカ

私のバードウォッチングの話に説得力があったかどうかはさておき、少なくともヨーロッパで見事な自然が楽しめることをお伝えできたなら幸いです。東のバルト諸国から、西のポルトガルに至るまで、とてもたくさんの発見があります。次のアドベンチャーが楽しみです。私の話が、あなたを冒険に駆り立てるきっかけになればとも願います。 

クリスティーナ・オーンスタインカナダ、オタワ。 
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