ここにご紹介する3つのクリスマスマーケットは、地元の食物、手作りの工芸品、そして、寒い冬に来訪者を温めてくれる精神に溢れています
その日はクリスマス前の最後の月曜日です。時は1434年。場所はドレスデンです。フリードリヒ2世がザクセン選帝侯として統治しています。
かくも昔についてのこのような情報を、なぜご紹介していると思われますか?それは、この日、実に特別なことが起きたからです。その都市のアルトマルクト広場で、ヨーロッパ初のクリスマスマーケットが開催されました。ドレスデンの住民が、食肉などの美味しい食材をクリスマスのご馳走用に購入できるまとまった場所を設けようと始まったこのマーケットが、毎年12月に素敵な体験を提供するクリスマスマーケットの由来なのです。1434年以来、ドレスデンはかなりの変容を遂げました。ただし、一つだけ変わらないものがあります。それは、地元民と来訪者に生涯忘れられない思い出を提供するという、この都市のクリスマスマーケットに対する献身的な姿勢です。
今日では、アドベントのほぼ4週間、240もの露店が出店するドレスデンのマーケットが開催されます。マーケット体験を始める際の一番の方法は、お気に入りの飲み物を持っていくことです。外は寒いでしょうから、マルド・ワイン、温かいアップルサイダー、ホットココアのいずれかを持参することをお勧めします。何を持っていくにしても、飲み物からは芳しい蒸気が立ち上がり、カップに入れれば指が温まります。次に、高さ14 mのクリスマスピラミッドに向かって歩いていきます。ピラミッドの各層には、贈り物を作る妖精たち、袋にプレゼントを詰め込むサンタ、または祝祭の音楽を奏でるミュージシャンなどのクリスマスの光景が再現されています。次にクリスマスの品々でいっぱいの屋台に向かいます。まずは、(小さめの)クリスマスピラミッドの購入を検討してください。これはキャンドルから立ち上る熱を利用し、一番上にある羽根に風を送り、回転させるものです。その他のには、手作りの装飾品が挙げられます。特に採鉱のシンボルと宗教的要素をもったドレスデンならではの伝統工芸品です。他の伝統的な物としては、シュヴィップボーゲン(文字通り半円形を意味する)があります。クリスマスのテーマによる、木製で、多くの場合、季節の光を表現するものです。最後に、素敵なくるみ割り人形とロイヒャーマン(煙出し人形)が挙げられます。手作りであることが多く、ヨーロッパ最古のマーケットでの素敵なクリスマスを思い起こさせることでしょう。買い物に明け暮れた後は、かなりお腹が空いていることでしょう!地元のジンジャーブレッド、プフラウメントッフェル(プラムの悪魔呼ばれるお菓子)や様々なローストミートがあります。

次に、フランスの都市メッスに向けて西に旅します。そこでも毎年素敵なクリスマスマーケットが開催されます。フランスのクリスマスマーケットのすばらしい点は、その雰囲気と陽気さが、この国の有名で長い歴史を持つ美食と融合している点です。ドイツと異なり、フランス人はクリスマスの期間中には牡蠣などの魚介類を食べます。それらをメッスのようなマーケットで見つけることができます。このマーケットはまた、保存肉や、夏の月の地元の果実を使用した手製の保存食品、モゼールのAOCワイン、おいしいクリスマスケーキ、地元のビールなどの特産品が数多くあることでも知られています。しかしそれだけではありません!20人ほどの職人や地元の農場経営者も出店しており、ガラスアート、プラムの香りのキャンドル、ホームメードの石鹸、有名なマイゼンタールのクリスマスの装飾品など、この地方限定の品々を販売しています。クリスマスの美味しい食べ物や温かいワインを十分に味わった後は、レパブリック広場(Place de la République)の屋外アイススケートリンクまで出かけ、冷たい空気の中、氷上を滑ってください。そして、クリスマスのライトアップを楽しみながら、旧市街地を通り、夜の散歩を終わらせます。遠くからでも金色に光り、美しく見える大聖堂は、そうした夜の散歩の醍醐味となることでしょう。

それでは次に、南に向かいましょう!イタリアのことを考えるとき、最初に頭に思い浮かぶのは凍りつくようなクリスマスの気温ではないでしょう。そうです。この国では、クリスマスを何世紀にもわたり美と優雅さとすばらしい食べ物で祝ってきました。イタリア北部にあるトレントは、最も豪華なクリスマスマーケットが開催される場所の一つです。そして、トレントの長所は、ドイツやオーストリアのマーケットに比べてまだ「隠れた」存在であり、つまり、昔ながらの伝統をとどめている点です。トレントは、絵のように美しい中央広場とオレンジ色のタイルが敷かれた屋根が輝きを放つ古い建物を持つ、目を見張るような都市です。トレントに雪が降ることはめったにありませんが、この都市の周囲に見える素敵なドロミテ山地の頂上は、よく粉雪で覆われています。ここのマーケットでは、フィエラ広場とチェザーレ・バティスティ広場の2つの中央広場一杯に90軒以上の露店が所狭しと並びます。アルプスを背景にしていることから、これらの露店は魅力的な木製のデザインで、その地方と歴史(特にオーストリア・ハンガリー帝国)に深く関係する品々とごちそうが販売されます。あなたは食べ物に最も惹かれますか?それならフィエラ広場があなたの行き先です。美食家たちの主要ハブであるこの広場には、ケーキや地元チーズ、保存肉、数多くのおいしい飲み物(アルコール入とアルコールなし)など、まったくユニークな様々な食べ物が見つかります。なかでもおすすめなのは、日中はトレント探索にあて、午後6時ごろにマーケットに足を向けることます。なぜならこの頃にマーケットは最も盛況になるためです。さらに、一日中歩き回ることで、このクリスマスマーケットとここならではの楽しみを思い存分に味わうのに必要な食欲が湧いてくるでしょう。
